日本政策金融公庫

融資制度

○新創業融資制度
次の(1)〜(3)のすべての要件に該当する方
【創業の要件】
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件
次のいずれかに該当する方
(1)雇用の創出を伴う事業を始める方
(2)技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
(3)現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方

(ア)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
(イ)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

(4)大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方

(5)産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方

(6)地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方

(7)公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方

(8)民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

(9)既に事業を始めている場合は、事業開始時に(1)〜(9)のいずれかに該当した方

【自己資金の要件】
事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(注)を確認できる方
(注)事業に使用される予定のない資金は、本要件における自己資金には含みません。

【返済期間】   事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金

【融資限度額】  3,000万円

【返済期間】   設備資金10年以内<うち据置期間6ヵ月以内>
運転資金5年以内(特に必要な場合は7年以内)
<うち据置期間6ヵ月以内>

【担保・保証人】 不 要

中小企業者フロー
個人事業者フロー
創業者フロー

事前確認事項

○日本政策金融公庫 国民生活事業の新規開業ローンの特徴

  1. ご契約時の金利が最後まで適用される固定金利であること
  2. 事業資金としては長期の返済期間が組めること
  3. 元金返済の据置期間を設定できること(1〜3年以内)
  4. 事業開始後5年までの方がご利用できること

○法人設立のための資本金の払い込みにあてる資金の融資
日本公庫 国民生活事業は事業資金(店舗、機械などの設備資金、人件費や仕入などの運転資金)をご融資する機関ですので、資本金の払い込みに使う資金については対象外となります。したがいまして、法人を設立して創業する場合は、設立登記後の法人がご融資の対象となります。

○個人での創業と法人での創業とで有利不利について
融資申込について、個人と法人とで大きな違いは特にありません(法人で申し込む際には履歴事項全部証明書または登記簿謄本が必要になるくらいです)。融資を受けるうえでどちらが有利ということはありません

○融資実行されるまでの期間
平均的には、1ヵ月程度です。ただし、ご融資の条件などによっては、時間がかかる場合もあります。

○自己資金について
自己資金は重要な要素のひとつですが、それ以上に事業計画全体がしっかりしているかが重要になります。公庫が融資先の創業企業を対象として実施した調査(「新規開業実態調査」)によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で3割程度となっています。

○担保・保証人なしでの融資について
新規開業資金等については、一定の要件を満たす方が3,000万円まで無担保・無保証人でご利用できる新創業融資制度があります。

○新創業融資制度を利用の自己資金について
創業資金総額の10分の1以上を自己資金でまかなっていただく必要がありますので、ご融資の対象額は、創業資金の最大10分の9まで(かつ融資限度額内)となります。

○創業にあたって必要な許認可について

法令により、許可、認可、登録、指定、届出および認証を必要とする事業が多くあります。たとえば、飲食店の場合は、保健所の営業許可が必要ですし、酒類販売業では、税務署の免許が必要です。
お客さまが創業しようとする業種について、許認可が必要かどうかを調べておく必要があります。許認可が必要かどうか分からないときは、関係窓口や支店窓口にご照会ください。
主な受付窓口と許認可営業は、次のとおりです。

保健所
警察署
都道府県庁
及びその他官庁
飲食店営業
菓子製造業
食肉販売業
魚介類販売業
旅館業
理容業
美容業
クリーニング業
医薬品等の販売業
など
マージャン店
古物商
警備業
指定自動車教習所
など
酒類販売業
各種学校
旅行業
宅地建物取引業
建設業
運送業
人材派遣業
自動車整備業
ガソリンスタンド
など

事業計画(創業計画)

○販売についての検討事項

だれが
 必要な売上高を確保するためには、従業員を必要とするのか、家族のみでよいのか検討します。
だれに
 どのような顧客層をターゲットとするのか明確にします。顧客層をどこにしぼり込むかによって、客単価や商品の品ぞろえが違ってきます。
何を
 顧客層や立地条件などによって、取り扱う商品やどのようなサービスをするのか決めます。
どのように
 対面販売にするのか、セルフサービスにするのか、通信販売にするのかなど、どのような販売方法をとるのか検討します。
どこで
 業種や顧客層にマッチした立地を選びます。また、立地条件に合った取扱商品、販売方法などについても検討します。
販売条件は
 現金なのか、掛け売りなのかなど、どのような条件で販売するのか検討します。
時間は
 営業時間をどうするのか検討します。

※製造業など販売先(受注先)が特定される場合は、次の点についても考えておく
※相手先が信用のおける企業かどうか
※継続した受注の確保が可能かどうか、自分の技術にあっているか
※掛け売りの場合は、後日のトラブルを防ぐためにも回収条件がどうなっているか

○仕入についての検討事項

何を
 売れ筋商品や販売戦略に沿った商品の確保が可能かどうか検討します。
どこから
 必要な時期に、必要な商品を、安定して供給してくれる仕入先の確保が重要です。
どんな条件で
 現金なのか、買掛や手形払いは可能か。支払いサイトはどうなっているのか確認します。
計画的に
 過剰在庫は資金繰りを圧迫します。計画的な仕入が大切です。

○創業資金計画

創業にあたっては、資金がいくら必要で、それをどう調達するかを検討しなければなりません。これを資金計画といいます。
創業に必要なすべての資金と、その調達方法について下の表を参考にまとめてみましょう。
必要な資金と調達の方法

必要な資金
金額
調達の方法
金額
設備
資金
店舗、工場、機械、備品、車両など
(内訳)
万円
自己資金
万円
日本政策金融公庫
国民生活事業からの借入
万円
運転
資金
商品仕入、経費支払資金など
(内訳)
万円
その他からの 借入
(内訳・返済方法)
万円
合計
万円
合計
万円

※各合計は一致させてください。

 

○売上予測
主な売上予測の方法は次のとおりです。業種の特性を考え最も適した方法を選び、検討してみましょう。
また、業界平均に地域事情などを加味することや、他の方法もあわせて多角的に売上高を予測することが大切です。

(1)販売業で店舗売りのウェイトが大きい業種(コンビニエンスストアなど)
<算式> 1m2(または1坪)当たりの売上高  × 売場面積 
[設例] 業種:コンビニエンスストア  売場面積 100m2
1m2当たりの売上高(月間) 16万円(「小企業の経営指標」による業界平均から算出)
売上予測(1ヵ月)=16万円×100m2=1,600万円

(2)飲食店営業、理・美容業などサービス業関係業種
<算式> 客単価  × 設備単位数(席数) × 回転数 
[設例] 業種:理髪店  理髪椅子 2台 1日1台当たりの回転数 4.5回転
客単価 3,950円 月25日稼働
売上予測(1ヵ月)=3,950円×2台×4.5回転×25日=88万円

(3)労働集約的な業種(自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など)
<算式> 従業者1人当たりの売上高  × 従業者数 
[設例] 業種:自動車小売業
従業者 3人
従業者 1人当たりの売上高(月間) 256万円
(「小企業の経営指標」による業界平均から算出)
売上予測(1ヵ月)=256万円×3人=768万円

(4)設備が直接売上に結びつき、設備単位当りの生産能力がとらえやすい業種  (部品製造業、印刷業、運送業など)  <算式> 設備の生産能力  × 設備数 
[設例] 業種:部品(ボルト)加工業  施盤 2台
1台当たりの生産能力 1日(8時間稼働)当り500個
加工賃@50円 月25日稼働
売上予測(1ヵ月)=50円×500個×2台×25日=125万円

※ 1m2当たりの売上高や従業者1人当たりの売上高などについては、「小企業の経営指標」(国民生活金融公庫総合研究所編)などで調べることができます。

 

○収支計画
新たに事業を始めようとする方にとっては、「これから始める事業は、どれくらいの利益がでるのか」という点が、一番気にかかるところでしょう。創業後の収支の見込みを収支計画といいます。
予測にあたっては、「経営環境」「業界事情」「設備能力」「競合状況」「価格の推移」などについて総合的に検討してください。
下の表を参考に収支の見込を検討してみましょう。
創業後の見通し(月平均)

 
創業当初
軌道に乗った後
売上高(1)
万円
万円
売上原価(2)
万円
万円
経費
人件費
万円
万円
家賃
万円
万円
支払利息
万円
万円
その他
万円
万円
合 計(3)
万円
万円
利益 (1) - (2) - (3)
万円
万円

借入金の返済は利益からなされます。しかし、利益をすべて返済に充てることはできません。税金を払ったり、個人の場合は生活費などが必要です。
下の損益計算書をもとに、無理のない返済が可能か、生活のめどがたつか十分に検討してください。

 

○損益計算書

科目
内容・留意点等
売上高
(売上予測高)
あなたのたてた売上予測高を計上します。さまざまな角度から達成可能な売上高を予測してください。
売上原価
(仕入)
原価は一般的には「売上高×原価率」で求めます。
原価率は業種や商品などによって違いますが、業界平均値を基にあなたの考えている販売戦略などを加味し、原価を求めてください。



人件費
 営業経費には、毎月決まった額の支払いが必要なものと売上高などに応じて金額が変わるものとがあります。
その他には、人件費、家賃、減価償却費を除いた一切の営業経費を具体的に算出します。
地代、家賃
減価償却費(1)
その他
営業利益
「売上高−(売上原価+営業経費)」で算出します。
営業外収入
受取利息、賃貸料収入など営業以外の収入です。
営業外費用
支払利息などの営業以外の費用です。
税引前利益
「営業利益+営業外収入−営業外費用」で算出します。
法人税等充当額
「税引前利益×50%」が目安です。この科目は法人の場合です。
当期利益(2)
「税引前利益−法人税充当額」で算出します。

※返済財源
返済財源(3) = 減価償却費(1) + 当期利益(2)
※収支見込(資金収支)
収支見込 = 返済財源(3) − 借入金返済元金 − 家計費(個人企業の場合)

 

○事業計画書

思い描いた事業をいかにして実現していくかを表したものが事業計画書です。
事業計画書は、金融機関や事業の協力者への説明の際に必要となります。また、説明する必要がない場合であっても、自分の事業が本当に実現可能なのかを確認する意味で、事業計画書の作成は必要なのです。
何度か書き直すことによって、自分が本当にやりたいことや事業の成功の見込みなどがはっきりとしてきます。


1.事業全体の構想・事業イメージ

・創業動機、事業の目的、将来的なビジョンどういう目的で何をやりたいかをはっきりさせます。事業に対する考え方や熱意、将来的な事業展開を説明します。
・市場性の調査これから始める事業の市場規模、将来性、事業を取り巻く
環境等を調べ、事業内容の裏付けとします。

2.具体的な事業内容

・提供する商品、サービス、技術またはそれらの提供方法にどのような特徴があるのか、そして対象とする顧客のニーズにいかにマッチしたものであるかを分かりやすく説明します。

3.創業時の資金計画

・借入については、必ずしも希望どおりの資金調達ができるとは限りません。中古設備を購入した場合やリースを活用した場合など、いくつかのケースを想定しておくと、いざというときに慌てないですみます。

4.収支計画

・創業当初の収支予測と軌道に乗った後の収支予測をたてましょう。

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